2016年2月22日 |
内山 宙さん(弁護士) |
憲法が改正されたころ、私はまだ高校生になったばかりだった。改正案の内容は、私が中学で習っていた憲法の原則からすると、ちょっとおかしいんじゃないかと思ったけど、選挙権のない自分には何もできなかった。
緊急事態条項が通って直ぐに某国がミサイルを発射しようとしているということで騒ぎになった。総理大臣が緊急事態だとテレビで宣言していたが、緊急事態にしては、記者会見の演出がやけに準備周到だったことが印象的だった。そのミサイルは、結局衛星軌道に乗ったそうで、人工衛星だったんじゃないかと言われていた。それで、緊急事態の宣言をした根拠を出せと野党が追及していたけれども、緊急事態宣言について国会の承認を得る期限が決まっていなくて、首相はなかなか国会承認の手続を取ろうとしなかった。とはいえ、100日を超えて継続する場合に国会の承認を得なければならないということになっているので、さすがに100日になる前に事後承認の手続を取ることになった。しかし、緊急事態宣言の根拠となる事実関係自体が特定秘密に当たるということらしく、防衛省が「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある」と言って、資料は国会には出てこなかった。
国会議員はずっと国会議員のままだ。緊急事態の間は、国会議員の任期が自動的に延長されるという法律を内閣が自分で作ってしまったからだ。緊急事態には、内閣は自分で法律と同じ効力のあるもの(政令)を作ることができる。国会の事後承認が必要だけど、いつまでに承認を得るという期限は決まっていないから、承認にはずいぶん時間がかかる。そして、内閣が出してきた政令は、与党が数の力でそのまま承認してしまう。政府の言いなりなので、もう三権分立なんて日本にはないのと同じだ。三権分立がなければ、権力は濫用されてしまい、その国には憲法なんてないのとおなじことになる。そして、議員の任期延長の政令は、与党議員からすれば、自分たちの議席が安泰になるのだから当然賛成した。
私も大学3年生なので、将来の進路をどうしようか考えているが、できるだけ予備自衛官にならないで済みそうな仕事を探している。医者や看護師になる知人は、将来、予備自衛官にされて、戦地に行かされることを恐れている。海運業の従業員も危ないらしい。戦争になった時に、輸送船として徴発され、乗組員にも自衛官の立場が臨時に与えられて使われてしまうらしい。
どうしてこうなってしまったのか?思い返せば、今から6年ほど前、2016年に参議院の選挙があった。 ※ このお話は、緊急事態条項が通ってしまったらどうなるかシミュレーションしてみたものです。
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http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20160222_01.html
国会前で、プラカードを掲げて安保法案反対を叫ぶ集会参加者=24日午後7時43分、東京・永田町で(平野皓士朗撮影)
集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案に反対し、廃案や撤回を求める市民や学生、学者らの抗議活動が二十四日、東京・永田町の国会周辺で相次いで行われた。市民ら三万人(主催者発表)は国会を包囲し、粘り強く戦っていくことを誓った。学生や学者もそれぞれ会見を開き、法案の違憲性を強く訴えるなど廃案を求める声が大きなうねりとなってきた。
国会包囲を主催したのは、十五日から平日の日中に、国会前で座り込み行動をしていた市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」。正門前に設けられた仮ステージの周辺は身動きできないほどの人が集まり、横断幕などを掲げ、「戦争法案絶対反対」などとシュプレヒコールを繰り返した。
政府・与党は法案を今国会で何としても成立させようと、二十四日までの予定だった会期を、現憲法下で最長の九十五日間も延長したばかり。
埼玉県所沢市から参加した中村義則さん(70)、美智子さん(70)夫妻は法案について「国民が七十年かけてつくり上げてきた平和を壊すのは許せない」と強調。義則さんは「私たちは今、こういう方法しか表現する力がないけど、粘り強く続けたい」と話した。
毎週金曜日に国会前で安保法案に反対する抗議活動をしている学生らのグループ「SEALDs(シールズ)」は二十四日夕、参院議員会館で会見。中心メンバーらが「本当に戦争法案を止められるという思いでやっている」と訴えた。
集団的自衛権の行使を憲法の解釈変更で認めようとする安倍晋三首相の姿勢に危機感を抱く多分野の学者でつくる「立憲デモクラシーの会」も同日、衆院第二議員会館で会見し、法案の撤回を求める声明を発表した。
引用(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015062502000140.html)
―法律家6団体の共同声明―
弁護士 髙崎 暢
2015年6月15日
前回、200人を超える憲法学者が、戦争法案の速やかな廃案を求めて声明を出したことをお伝えしたが、その数は日々増えているとのことです。そして、私も所属する法律家団体が、別紙のとおり、安保法制(戦争法案)の廃案を求める共同アピールを発表した。
―安全保障法案(戦争法案)が国会で論戦中―
弁護士 髙崎 暢
2015年6月12日
憲法審査会に招致された憲法学者3名がそろって「集団的自衛権の行使は憲法違反」と明言した。そして、200人を超える憲法学者が、戦争法案の速やかな廃案を求めて声明を出した。
戦争法案の憲法的菜正当性は根本から崩壊した。
それでも、安倍首相は、強行採決を含めて、対米公約である戦争法案の成立に固執する。
もし、戦争法案が成立すれば、厳然と存在している憲法9条が完全に空文化する。そのことは、この国が法による支配すら打ち捨てることであり、憲法のない国に住むということになる。
随時、戦争法案の内容を解説し、その危険な本質を多くの人に知らせたい。